追儺（豆まきへと変化した民間伝承のお祓い）
不運や不幸を断ち切り、幸運を呼び込むための行事として「節分」があります。
この節分には、「追儺（ついな）」という古来から伝わるお祓いの型が含まれており、私たちの生活にとって重要な意味を持っています。
今回は、節分と追儺の起源、黄泉國と共に語られる穢れや鬼について、そしてお祓いの大切さについて深掘りしていきましょう。
節分と追儺の起源
「節分」とは、本来「季節の分かれ目」を意味し、立春・立夏・立秋・立冬の前日に行われる行事でした。しかし、特に立春の前日が重要視され、新たな年の始まりを迎える準備としての意味が強まりました。
その節分とともに行われるのが、みんなが良く知る「豆まき」の行事です。
この豆まきという風習は起源が古く、奈良時代の頃にはその原型とされる「追儺」の儀式が行われていました。
追儺とは、古代中国に起源を持ち、日本には奈良時代に伝わったお祓いの儀式です。宮中行事として旧暦の大晦日に疫鬼や疫神を払う儀式として主に宮中や都において陰陽師らの手によって執り行われていました。
のちに宮中行事としては廃れていきましたが、民間行事として広まりました。
今日の豆まきも、この追儺の儀式が変化したものです。豆をまいて「鬼は外、福は内」と唱える風習は、邪気を払い福を呼び込む行為です。炒った大豆を使うのは、芽が出ないようにすることで「厄が再び生まれないようにする」意味が込められています。
また、「笑う門には福来る（笑門来福）」という言葉があるように、豆をまいて鬼を祓ったら福を招くために笑顔で過ごすことも結構重要かもしれませんね。
鬼と黄泉國
節分で追い払われる「鬼」は、疫難厄災の象徴です。
ピンと来た方もいるでしょう。疫難厄災を呼び寄せるものとは「穢れ」です。
日本における穢れの象徴は「記紀（古事記・日本書紀）」における黄泉國の記述にでてくる「ヨモツシコメ」という怪物的な描写がされるモノノ怪神です。鬼を祓うという風習には、こうした古代の死生観や黄泉國（よみのくに）の概念が関係しています。
黄泉國とは、日本神話において死者が行くとされる冥界のことであり、『古事記』や『日本書紀』にはイザナミノミコトが亡くなり黄泉國へ行った話が記されています。
黄泉國は使者が住まう穢れた土地とされ、そこから現世に戻ろうとする者は「鬼」として忌み嫌われました。「鬼」は、本来は異形の存在というよりも「災厄」「疫病」「災害」を象徴するものであり、追儺の儀式ではこれらの不吉なものを祓い清めることが目的でした。
つまり、鬼を追い払うことで、穢れの影響を断ち切り、新しい年が幸福たれと願っていたのです。
お祓いの重要性
節分や追儺式は単なる行事ではなく、厄災を祓い、福を呼ぶ大切な行事です。
日常生活の中で、私たちは知らず知らずのうちに穢れを溜めこんでしまいます。積もれば積もる程に、不運や不幸につながりやすくなるのです。
お祓いは、単に「悪いものを遠ざける」というだけでなく、「本来の自分に立ち戻る」ためのものです。
穢れを祓い浄め心を清め躰を潔めることで、八百万の神々たちが満たしている神気を魂に取り込み、本来あるべき運気を引き寄せることができます。
特に、毎日の生活に追われている人こそ、節分の豆まきや茅の輪くぐりなどの穢れ祓いの行事に積極的に参加する事で、自分自身をリセットし、開運へ向かう流れを作ることができるでしょう。
祓穢招福を実行するために
節分の豆まきや追儺は、単なる風習ではなく、不運を払い、幸福を呼び込むための重要な儀式であることは。もう理解して頂いたことでしょう。
鬼は、災厄を象徴する存在ですが、それを追い払うことで福を迎え入れることができます。
この辺の仕組みは縁切り・縁結びとも共通した法則です。
「お祓い」を意識し、日々の生活に取り入れることで、運気の流れを整え、よりよい未来を引き寄せることができるはずです。
今年の節分は、豆まきにしっかりとした意味を込めて、邪気を払い、笑顔で福を迎え入れてみてはいかがでしょうか。
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